
- はじめに:なぜ眉アイテムの開発は難しいのか
- 1.つまずきポイント①: 色が狙いどおりに出ない(発色・色設計)
- 2.つまずきポイント②: 芯の硬さと描き心地のバランス
- 3.つまずきポイント③: 形状の選択ミス(ペンシル/パウダー/リキッド)
- 4.つまずきポイント④:眉毛量や肌質で評価が大きく分かれる
- 5.つまずきポイント⑤: “折れやすい”“削りにくい”などの実使用クレーム
- 6.成功例:100年近い製造実績から見た「うまくいく企画」の共通点」
- まとめ:企画段階で”迷わない”ためのチェックリスト

はじめに:なぜ眉アイテムの開発は難しいのか

眉アイテム(アイブロウペンシル・パウダー・リキッドなど)は、メイクアイテムの中でも企画担当者がもっとも“差が出にくく、評価が割れやすい”カテゴリと言われています。
その理由は、
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眉の形・毛量・肌色が人によって大きく異なる
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使用者の描き方の癖で仕上がりが変わる
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発色・質感の“正解”が一つではない
という特性にあります。
さらに、アイブロウは顔の印象の8割を決めるとも言われ、仕上がりの許容範囲が非常に狭いため、開発や企画判断が難しくなります。
1.つまずきポイント①: 色が狙いどおりに出ない(発色・色設計)

眉アイテム開発で最も多い課題が 「色がテスターと顔で違う」問題 です。
●色が変わる原因
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皮脂量の違い:皮脂と混ざると、色が暗く見える/赤みが出る
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毛量の違い:毛が濃いと色が沈む、薄いと明るく見える
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形状差:
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ペンシル → 重ねるほど濃く見える
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パウダー → ふんわり発色
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リキッド → 1ストロークの色が強い
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●OEM開発時のポイント
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手の甲だけでなく 眉毛の上で必ず確認する
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仕上がりを明確に言語化
「赤みが少ないブラウン」
「黒髪向けのグレーブラウン」
など、色の方向性を絞る -
毛量の違う2〜3名でテストする
2.つまずきポイント②: 芯の硬さと描き心地のバランス

アイブロウペンシルの設計で最も難しいのが 芯硬度の調整 です。
●起こりやすい課題
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硬すぎる → 描けない/発色しない
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柔らかすぎる → 折れる/ぼやける
芯は粉体・ワックス・油剤の組み合わせで硬さが決まりますが、
ほんの少しの配合差で描き味が大きく変化します。
●企画時のチェックポイント
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“書き始めが弱い”かどうか
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ストロークの太さが一定か
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毛流れに逆らって描くとどうなるか
3.つまずきポイント③: 形状の選択ミス(ペンシル・パウダー・リキッド)

企画意図と形状がズレていると、想定していた顧客に刺さりません。
●形状ごとの特徴
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ペンシル:ベーシックで最もユーザーが多い。形を作りやすい。
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パウダー:ふんわり自然仕上げ。立体感は出ない。
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リキッド:毛流れを描き足せる。耐久性が高い。
●よくあるミス
「自然なふんわり眉を作りたい」
→ なのにペンシルだけで企画してしまう
目的 → 形状 → 処方 → 色
の順で組み立てるとズレが起きにくくなります。
4.つまずきポイント④:眉毛量や肌質で評価が大きく分かれる

1つのサンプルでも、テストする人ごとに
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描ける/描けない
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発色する/しない
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眉尻が落ちる/落ちない
など評価が真逆になるケースが多いのが眉アイテムです。
●必ず確認すべき評価パターン
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毛量:多い/普通/少ない
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肌質:乾燥肌/普通肌/脂性肌
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色味:黒髪・柔らかいブラウン毛流れ etc.
特に 皮脂量の多い人での落ち方テストは重要 です。
5.つまずきポイント⑤: “折れやすい”“削りにくい”などの実使用クレーム

特に木軸は、
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削り方
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芯の繰り出し量
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キャップとの摩擦
などによって破損が起きることがあります。
●よくあるクレーム
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芯が折れる
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削りくずが荒い
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キャップ内で先端が欠ける
●回避ポイント
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キャップと先端のクリアランス確認
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削りサンプルを企画段階で実施
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夏場と冬場の両方で破損テスト
6.成功例:100年近い製造実績から見た「うまくいく企画」の共通点」

長年OEMをしていると、うまくいく企画には共通項があります。
●成功する企画に共通していること
① 仕上がりの定義が明確
「毛を増やして見せたい」
「ふんわり影を足す」
など、目的がはっきりしている。
② 形状・芯硬度・色の優先順位が決まっている
すべてを完璧にするのは不可能。
何を最優先にするかが重要。
③ ターゲットの毛量・肌質を具体化している
“20代女性”ではなく
“毛量が少なく、眉尻が落ちやすいタイプ”
などリアルな人物像で考える。
④ サンプル検証を短いサイクルで繰り返す
アイブロウは微調整が命。
サンプル→評価→微調整のステップが成功率を高める。
まとめ:企画段階で”迷わない”ためのチェックリスト

企画担当者が眉アイテムを開発する前に、最低限確認しておきたいことは以下です。
✔ 企画意図は明確か
自然?くっきり?毛流れ重視?
✔ 形状選択は目的に合っているか
ペンシル/パウダー/リキッドなど
✔ 色の方向性は言語化されているか
赤み/黄み/明度の優先度



